学習活動の様子をお知らせします!

八二養の日々

ちょっとを引き出す工夫~歯科検診から~

 歯科検診が行われました。
 

 子供たちにとっては、検診の中でも一番ハードルの高い検診ですね。
 
 苦手意識を持つことが多い検診ですが、
 「ちょっとがまん。」して、「なんだこんなもんか。」という経験を重ねることが大切だと思います。
 
 ちょっとがまん・・・の「ちょっと」がなかなか難しいのですが、今日も子供たちのちょっとのがまんをうまく引き出そうと、先生たちはあの手この手で子供の気持ちを軽くしようとがんばっています。
 
 ある学級では、絵本を目線の上の方に提示して、顔を上げてもらうように工夫していました。確かに、体に力が入るとぎゅっと丸くなる方に力が入ってしまいますから、なかなかいい工夫だなと思いました。
 

 そんな工夫もあって、みんな今までより「ちょっと」頑張りを見せて歯科検診に臨むことが出来ました。

 歯科検診の取材の際に2年間追いかけてきた子(一昨年、昨年の歯科検診の記事を御覧ください)は、今回「できたぜ!」とガッツポーズを見せていました。
 毎年ちょっとずつのがまんの経験を重ね、こんなもんだと理解できたのかなと思います。

 歯科検診に限らず、ちょっとのがまん、頑張りの中で得られる安心感や達成感の中で成長していくのかなと思います。
 今回の様々な工夫のように、ちょっとを上手に導いてあげることを大切に子供たちと関わっていきたいなと思います。

交通安全教室

 新年度が始まり、通勤の時にいつもすれ違っていた車を見なくなりました。
 逆に新たに出会うようになった人もいます(ぴかぴかのランドセルを背負った小学1年生や真新しい制服の中学生などです)。

 これまで慣れ親しんだ環境から少し違う環境に身を置くことになるのでいつも通りの動きでも、ちょっと違ったことが起きてしまうかもしれません。

 
 本校でも、この時期に交通安全について学習する機会を大切にしています。
 
 今日は小学部の「交通安全教室」が行われました。
 
 最初は、学校の敷地内の横断歩道でで安全確認の練習。
 私が見たのは4年生の子供たちでしたが、3年の積み上げは大きいなと思いました。
 1年生の時の様子とはまるで違うのです。「右、左、右」という先生の声に合わせてしっかり安全確認をしています。
 
 これなら道路でも大丈夫。自信をもって学校の前にある道路の横断に取り組みました。
 
 立派だなと思ったのは、「右、左、右」の確認が形だけではないということ。
 遠くから車が近付いているのに気付き、2歩前に出たところから戻ってくるという様子が見られました。本質を理解しているなとうれしく思いました。

 普段の授業の中でも、形だけ出来たように見えることに止まらず、本当に役に立つ力が身に付くように関わっていきたいなあと思いました。
 




令和4年度入学式

 本校では、小学部18名、中学部29名の新入生を迎えました。
 
 4月8日(金)10時から中学部の入学式が行われました。
 

 本校からの進学者23名に、小学校から入学する6名が加わり、本校の中でも一番人数の多い学年になりました。
 
 6年間で培った人間関係の中に、新たな個性が加わることで、生徒同士の多様な関わりが見られるのではないかと期待しています。
 
 生徒会長の挨拶にあったように、困ったときはいつでも先輩を頼っていいです。
 分からないときは遠慮なく聞いてみよう。自信がないときは先輩の姿をしっかり見てみよう。
 必ず進むべき道が見えるはずです。
 
 新入生の皆さんが楽しみにしている作業学習は大人になる第一歩を感じられるとてもやりがいのある学習です。働く楽しさ、仕事ぶりを評価してもらううれしさを存分に味わいながら成長してください。
 

 中学部の式の後に、小学部入学式が行われました。
 中学生の大きな体から比べると、確かに体は小さくかわいらしいのですが、入学に対する思いは同じなのだと思いました。
 式が始まる前に、「そろそろ式が始まります。いすに座りましょう。」と呼び掛けたところ、それまで体育館を走り回っていた子が、お父さん、お母さんの隣のいすに座ったのです。なんて素晴らしい!
 小学生になるんだという気持ちをしっかり持って入学してきたのだなと感心しました。
 
 「全員、御起立ください。」の言葉にも御覧のとおり、しっかり応じて式に参加していました。

 そんな立派な小学1年生の子供たち、保護者の皆さんが羨望の眼差しを向けたのは、6年生の代表の児童でした。
 代表児童が壇上に上がると明らかに空気が変わったように感じました。
 
 決して言葉にしていたわけではありませんが、私には「かっこいい!」という子供の声、「うちの子もああなるのかな。」という保護者の声が聞こえた気がしました。

 小学部も、中学部も、よいお手本が近くにいてくれるのは有り難いことですね。
 一歩一歩憧れの先輩に近づけるようがんばっていきましょう!
 


新任式・始業式で令和4年度スタート!

 2週間程の春休みでした。

 私は、子供がいない学校がさみしくて「早く始まらないかな。」とことあるごとに口にしていました(学校でも、家でも)。
 すぐに始まることは分かっているのですが、何となく物足りない、張り合いがない感じに耐えられなくなってしまいます。

 今日、玄関で子供たちを迎える先生たちを見ていて、みんな同じ気持ちなんだなということが分かりました。
 
 子供たちを迎える先生たちは、
 まず、目が違います。声のトーンが違います。そして、身のこなしが違います。

 ♪昼間のパパはちょっと違う♬(by忌野清志郎)という歌詞が口をついて出そうになるぐらい、光って見えました。
 そんな先生たちに迎えられて、子供たちは安心して新しい環境になじんでいました。

 新しい先生と一緒に新しい環境を確認する        スクリーンに映る校長先生の話を聞く
   
 各教室での新任式・始業式の様子を見て回ると、驚くほど落ち着いて、感心するほど立派な態度で参加しています。
 前年の学習と家庭での生活の経験が確実に積み上がっているなあと思いました。

 それぞれによい形で新しい1年のスタートを切ることが出来たと思います。

  
 ある学級を訪ねると教室の後ろには教科書が用意されていました。
 新しい教科書を使っての学習に期待が膨らみます。
 
 今年はどんなことがあるだろう?どんなことを学び、成長できるだろう?
 
 児童生徒の皆さん、一緒に着実な一歩を踏み出す1年にしていきましょう。
 保護者の皆様、関係機関の皆様、今年度も変わらず、学校の教育活動への理解と協力をお願いします。
 

修了式・離任式

 今日は、1年の学習の最終日でした。

 修了式・離任式が行われました。
 本来であれば、体育館で、各学年の代表児童生徒が校長先生から修了証書を受け取ったり、退職・異動する先生とお別れをしたりするのですが、感染防止対策として各学級でスライドを使って式を実施することとしました。
 
  
 各学級では、担任の先生から児童生徒一人一人が修了証書を受け取っていました。
 体育館でもらうという緊張感は味わえなかったかもしれませんが、一人一人の子供に合わせて丁寧に証書を渡している姿を見て、特別支援学校のよさが出ているなあと感じました。
 ぎゅっと握り込んで持ってしまう子のためにクリアファイルに入れて手渡したり、証書の存在に気付きやすいように見やすい位置に提示し、手を伸ばして来るまで待ったり、何気ない瞬間ですが、先生たちが子供の力を生かそう、引き出そうとしている姿が見られました。

  

 子供たちもそうした先生たちの思いに応えるようにしっかり証書を受け取っていました。
 小学1年生は、1年前とは比べものにならないぐらいの落ち着きぶりでした。
 小学4年生になると、体育館でやっていた証書の授与の仕方を覚えているのでしょう、あまりに立派な受け取り方に、私は思わずうなってしまいました。
 中学生はもう私たちがやっているのとそう大きく違いはありません。どこに行っても大丈夫と思える態度でした。

 小学部1年生から順に中学部まで見ていったのですが、1年という時の重みを感じる時間となりました。そして、もう一つ気付いたのが、体育館での授与の経験のある学年になるとイメージはより明確になり、もらい方も形になっているなあということです。
 同じような経験であっても、経験の「場」がどのようであるかということも、大事な要素なのだということに気付きました。

 令和4年度は、どんな1年になるのでしょう。
 少しでも、子供たちの学びの場が充実出来るよう、がんばっていきたいと思います。
 

卒業式

 令和3年度卒業式が行われました。
 
 コロナ禍でも、明るく、華やかに送り出したいという思いで、前日の準備の時に先生たちが玄関を彩ってくれました。
  

 そして、体育館まで続く長い廊下は、小学部、中学部の在校生たちが作った飾りでいっぱいです。
  
 卒業生とその保護者の皆さんも、廊下を歩きながら「かわいいね。」「上手だね~。」と言いながら、一つ一つよく見ていました。式には参加できなかったけど、在校生の皆さんの思いは十分に伝わったと思います。

  

 今回の卒業式に向けて、先生たちは悩みながら準備を進めていました。歌うこと、大きな声で話すことが制限される状況の中で、子供たちの表現する機会をどのように用意するか・・・。動画を使ったり、歌に合わせて手話の表現を取り入れたり、卒業生の思いを皆さんに少しでも伝えたいという思いが私にもひしひしと伝わってきました。

 そして今日。その思いは卒業生の思いと合わさってしっかり表れていました。
 表現する機会が限られている分、一つ一つの手話など、一瞬一瞬に力を込めている様子が感じられました。私は、その一生懸命さに胸を打たれてしまいました。
(涙が出そうになるので、必死に司会進行のことだけを考えるようにして何とかこらえました。)
  
 そして、一瞬にしっかり力を入れて頑張る気持ちがあれば、卒業後も安心だと思いました。
 
 小学部卒業生の皆さん、新しい一歩に向けてしっかり力をためて準備しましょう。
 中学部でも着実に一歩一歩進んでいけるよう、保護者の皆さんと協力しながら支えていきます。

 中学部卒業生の皆さん、これからはすぐそばにはいられませんが、ずっと応援しています。
 私は、皆さんのことを「自分の思いをしっかり伝えられる子供たち」「友達のことを考えられる子供たち」だと思ってずっと見てきました。そこに、中学部の3年間で「しっかり考えることができる子供たち」というイメージも加わりました。
 慌てず、急がず、じっくり考え、友達や大人の声も聞きながら自分の道を進んでください。

 卒業おめでとうございます。

 大好きな担任の先生と一緒に

 
 

 

合格発表、そして卒業へ

 
 今日は卒業に向けて飾り付けられた中学部の校舎を歩いてみました。 
 なぜ中学部なのか。それは、今日は県立特別支援学校高等部普通科の合格発表の日だからです。
 
 受検した特別支援学校高等部のホームページを確認し、各教室からは歓声が。

 生徒たちは、進路についての学習や面接の練習などを通して、目標を確認し、自分の気持ちや行動をコントロールしながら表現することをがんばっていました。人生で初めての合否を分ける経験の中で、今までにない緊張感も味わったことでしょう。
 「おめでとう」という言葉しかないのですが、少しでも心を込めて言ってあげたいと思います。
 
 さて、放課後にもう一度中学部の校舎に行くと、教室の前には、「祝 合格」の掲示が誇らしげに掲げてありました。 
  
 
 その下には、校長先生からのメッセージカードがありました。
 これをもらって、生徒たちはとても喜んでいたと担任の先生から聞きました。
 「合格」を確かな形として受け受け止めることができたのでしょう。合格証書を2つもらったような感覚だったのかもしれませんね。
 
 発表前はそうでもなかったのですが、行く先が決まると一気に卒業に向けて気持ちが走り出した感じがします。新しい道が見えたことがそう思わせるのかもしれません。
 卒業する皆さんには、これからも常に目の前に新しい道を見つけて進んでいってほしいと思います。

「給食」いつもありがとう!

「厨房に感謝を伝える会」が行われました。
 ※本来は、食堂に集まった児童生徒みんなで感謝の気持ちを伝える場なのですが、感染症防止対策のため、厨房代表2名、児童生徒代表3名で行いました。



 「私は、9年間給食を食べてきました。」という言葉に、思わず泣きそうになってしまいました。
 
 その生徒がかわいらしい小学生だった頃から、ずいぶん大人びた中学部3年生になった現在までの成長の過程が一気に思い起こされたからです。何気ない言葉なのですが、その年月の積み重ねを思うとグッとくるものがあります。
(卒業式は泣いてしまいそう・・・いや司会者だから・・・、そんなことを考えながら生徒の様子を見ていました。)

 ある子供は、給食のおかげで食べられるものが増えたり、ある子供は給食を楽しみに学習をがんばったり、給食が9年間の学校生活をずっと支えてくれていたことを思うと、いつも感じている感謝の気持ちでは足りないなと思ってしまいました。

 こういう機会があって、改めてその有り難さを感じることができました。

 「いつもおいしい給食をありがとうございます。」
 
 このプレゼントの中には、本校児童生徒194名+教職員全員の感謝の気持ちが詰まっています。

 これからもよろしくお願いします。

 
  
 
 

「雪」も捉え方次第

 「雪」がたくさん降ると、私は少し憂鬱な気分になります。
 
 でも、先生方の捉えは違うようでした。
 朝の職員室の中で「雪かきができるぞ。」そんな声が聞こえてきました。
 そして、朝の活動を終えると、中学部の生徒たちはお隣のうみねこ塾さんへ続く道路の雪かきに繰り出していました。
 
 ある生徒が1回雪をかいた後に「道ができた。」と言っているのが聞こえました。
 なるほど、雪かきには、ビフォー・アフターのわかりやすさがあるなあ、改めて気付きました。
  
 生徒たちは、きれいになる道路を見て達成感を感じながら、どんどん作業を続けます。    
 
 そこに、ちょうどよいタイミングで、うみねこ塾の塾長さんが通りかかりました。子供たちに「ありがとう」と声を掛けてくれました。

 その瞬間、「雪かきができるぞ。」の意味がストンと自分の中に落ちていきました。

 同じ「雪」ですがどのように捉えるのかによって、生活の質が変わりますね。
 
 自分の身の周りで起きている様々なことをどのように受け止められるか、生活が充実するかどうかはそこにかかっているのかもしれませんね。
 

授業の中での教師の学び ー校内研究発表会からー

 
 先生たちは、国語、算数・数学、音楽・・・など各教科等のグループに分かれ、月に1回の校内研究日に、授業の動画や教材を持ち寄って、どのように改善すればより子供の考える力を引き出せるのかを検討してきました。
 今日は各グループからの報告とまとめを発表する日でした。
  
 各グループ検討の中で出てきた自ら「考える」授業づくりのアイディアを大まかに分類すると以下のようになります。
 
 研究を端的にまとめてしまうと、全く新しいことというよりは「やっぱりそこが大切だよね。」ということが出てきます。
 だったらまとめたことだけ知っていればいいじゃないの、と言う人がいるかもしれません。でも、それだけでは上手くいかないのが現場というものです(他の職業でもそうですよね)。理屈だけではどうしても上手くいかない。それが現実。
 だからこそ、私たちは授業の中での学びを大切にしたいのです。

 例えば、「教材の工夫」が大切だよねで終わってしまうと実践には生きません。その工夫は、技能的にできるためなのか、手順が分かるためなのか、興味を引くためなのかなど、子供と授業という場を共有し、子供のことをしっかり見ている先生だからこそ、明確になるのだと思います。そして、子供に合わせてどのように工夫できるかを考えることも、その場にいる先生だからこそできることです。
 授業研究は、そうしたリアルな営みから学ぶ貴重な機会です。書籍からは学べない、子供たちとの関係の中からの学びです。だから教師という仕事はやりがいがあるのだと思います。

 今回の研究の成果は、まとめそのものということもあるかもしれませんが、研究の中で先生たちが考えた過程の中にこそあるものなのかもしれません。
 そのことを一人一人が意識し、次の授業づくりにつなげていきたいと思います。

 本校で大切にしている「授業づくりのポイント」 表紙と1ページ